アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男って釣りタイトル映画
渋谷Bunkamuraル・シネマで「アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男」を鑑賞。
(↓画像はドイツ公式サイトより)
(2017年1月7日公開 配給 クロックワークス、アルバトロスフィルム)
上の画像を見ると超カッケーじいさんに惚れてしまいそう。
(あらすじ)
2015年に公開されたドイツ映画で、舞台は1950年代後半のフランクフルトで
ホロコーストで主要な役割を演じたナチス親衛隊のアドルフ・アイヒマンを追う
フリッツ・バウアーという検事長の物語。
(タイトル)
ドイツ語の原題は "Der Staat gegen Fritz Bauer"で、英語版のタイトルは
"The People vs. Fritz Bauer"。
"Staat" は英語でいう"State" (国家)なので、より人間に着目したそちらの
タイトルは興味深いのだけれど、この日本語タイトルはアホっぽさ加減が知れない。
ちなみに日本語公式サイトのURLは
「アイヒマン vs バウアー」って伝言ゲームかよって具合にズレてきているのも、
逆に楽しんでやってるのかも知れない。
(映画について)
史実としてはアルゼンチンで潜伏していたアイヒマンは、イスラエル諜報機関の
モサドによる捕獲が行われて、裁判で有罪になって死刑になった訳です。この作品
ではそちらについて特に描いている訳ではなく、あくまでフリッツ・バウアーさん
とその周辺の現実とフィクションを交えたドイツ人としてのドラマが主題のお話。
まあハリウッド作品じゃないし、危機せまるアクションシーンがあるとは思って
なかったけれど、やはり特になかったのでタイトル詐欺とは言わないけど釣りだよね。
批評家向けには味付けが薄いから、フィクション部分の扱い、特に同性愛の扱いを
厚くして現代的な視点を追加したところが、評価が分かれている感じ。
応援コメントを寄せるのもはてなーが大好きそうなジャーナリストが多い。
自分はドイツ映画といえば、去年は「帰ってきたヒトラー」
みたいなコメディしか観ていなかったので、ドイツにおけるこの作品に対する評価が
いくつか賞を取っているところを見ると、「この世界の片隅に」で賞を取っているのと
比較できて、戦争に対する距離感の違いが面白いかな。
ル・シネマでは自分もおっさんだけど、40代以上の年配のお客しかいない割りに
結構埋まってたけれど、近くで豪快にイビキをかいて寝てて、緊張感が台無し。
レビューサイトなどでは「ハンナ・アーレント」や「アイヒマンショー」など関連
作品の情報が色々語られていたので、そういう導入には良いかもね。
その他に50年代を感じさせるドイツの建物などの映像美と、音楽は素晴らしいという、
賛否両論な作品にありがちな、褒め方は全く正しいと思いました。